たとえば、1分間走るとすると、ペースにより疲れ方が大きく違ってきます。速く走るほど、バテるのが早く、走りきることさえできません。ムリして走りきったら、何時間も動けなくなるほど疲労するかもしれません。でも1分間ゆっくり歩くことで息切れする人はいません。それは運動としてはラクなので心拍数があまり上がらないからです。心拍数の測定は、歩行のきつさを把握するのに最も有効です。適正な心拍数を維持しながら登れば途中でバテることはありません。 この心拍数を測りながら、無理のないペースで登るのが私たちの推奨する心拍管理登山です。1人づつ心拍計をつけていただき、ほぼ理想的な疲労度で無理なく登山することができます。そして、一番あってはならない、急性の心筋梗塞などを予防することにもなるのです。
七合目付近から上部には、へたりこんでいる方がけっこういらしゃいます。心配になってパルスオキシメーターで計測してみると、正常値。本人は吐き気や頭痛を感じているので、高山病と信じ込んでいます。これはがんばり過ぎた方に多くみられ、オーバーペースや体力不足が原因と考えられます。私たちはこれを「降参病」と呼んでいます。
まわりのペースに惑わされて早く歩いたり、競争心だったりが、原因です。
富士登山は長丁場、下山の方が大変なのです。途中で降参しないためには、無理をしないこと。心拍数を管理して客観的にみて、無理のないペースを維持しながら歩くことを、大切にしています。マウンテンプロジェクトのツアーでは、お子様を含め一人ひとりに心拍計をつけていただき、安全に歩いています。